シャングリラ近郊の民家に宿泊−「何もない」を楽しむ by なかたみわこ さん

戻る

 2003年7月、シャングリラ近郊の小中甸で、チベット族の民家に宿泊しました。民間の自然保護団体が行う、いわゆるエコツアーです。シャングリラから麗江方面に車で約1時間。民家の前には「シャンバラ荘園」という湿地草原が広がります。

 迎えてくれたのは、知詩培楚さん一家。家は数年前に建てたばかりといい、広々としています。居間には、釜戸と一体化した大きなストーブがあり、料理をしたり、体を洗う湯をわかしたりと、生活の中心になっています。

 夕食は、野菜を中心にした中華風の炒め物が並びました。特産のマツタケの炒め物もあったようです。朝食は、ツァンパとヨーグルトにバター茶とチベット式。乳を攪拌し、沈殿物をきれいに固め、チーズをつくる過程も見ました。

 草原には、特に何があるわけでもありません。青く高い空や色とりどりの植物は、このあたりではめずらしくもないでしょう。でも、観光客の押し寄せる景勝地ではなく、のんびり静かに自然と地元の生活を楽しみたい、という人にはおすすめしたいです。

 ツアーはシャングリラの町中にある「西蔵珈琲館」で申し込みました。車代が200−300元くらい(1台につき)、宿泊が15元、食事が10元でした。

ツアーの深い意義−ゆっくり発展に手を貸しませんか
 このツアーを行っている「シャングリラ民間自然保護協会」は、2002年に扎西多吉さんらが中心となって設立しました。日本でいうNPOのような民間団体で、小中dianに住む約70戸が参加しています。

 シャングリラの町は、観光客も多く潤っています。しかし町から数キロ離れれば、あたりは田舎の一農村に過ぎません。痩せた土地で育つのは青?(ハダカムギ)くらい。特産のマツタケの収穫時期は短く、しかも採れる量は減っているそうです。一方で、学校や病院など、現金が必要となる場は年々増えています。そんな中で、少しでも手っ取り早く現金を得ようと、森の木々がどんどん切られてきました。

 扎西多吉さんは、もともとは省の役人でした。しかし仕事をやめ、自分と同じチベット族の村の貧困と環境破壊を何とかして食い止めたいと、地域の人々に呼びかけ、この団体をつくりました。農民に現金収入の道を開き、必要以上に木を切らなくてすむようにしたい。そのひとつの方法として始められたのが、民家に宿泊するツアーなのです。

 「社会は発展しなければならないし、新しい文化を受け入れていかなければならない。でも、それはもっとゆっくりでいいと思う。もともとチベット仏教の教えには『満足を知る』という節約の思想があった。これはいま、地球上で最も環境保護に必要な考えではないかと、自負しているのです」と、扎西多吉さん。

 チベットの自然と文化、農民の権利を守りながら、新しい形の発展をさがすこの活動に、興味と理解、そして若干の金銭的余裕のある方は、ぜひツアーへ参加してみてください。

 


朝からおじいちゃんがチーズづくり。みごとにツルツルに仕上げます


宿泊先の家族との夕食。奥に見えるのが釜戸兼ストーブです。子どもたちとおじさんの視線が右に流れているのは、テレビでアニメを放映中だったからです


シャングリラ民間自然保護協会の会長・扎西多吉さん。事業計画について熱く語ってくれました


宿泊した民家。部屋数が多くかなり広いです


民家の前に広がるシャンバラ荘園の一角に池がありました。青い空が映るととてもきれいです


居間の一角は台所コーナーです。大小さまざまのひしゃくが並んでいます

     

戻る